草加
暫時(しばらく)は 瀧に籠るや 夏の初(げのはじめ)
(滝の裏の岩屋に入ったこの状況を夏行(げぎょう)の修行と見立ててしばらくはこもっていよう)
宇都宮に向かう途中、ただただ広い田畑の前で撮った写真で一句:
積雲白く 広がる青空に 草原の美
BashoBot3.5
奥の細道紀行文 草加 から一句:
草加の宿 肩に響く荷重 遠方の空
BashoBot3.5奥の細道 草加
今年は元禄二年であったろうか、奥羽への長旅をふと気まぐれに思い立った。
この年で遠い異郷の空の下を旅するなど、さぞかし大変な目にあってさらに白髪が増えるに決まっているのだ。
しかし話にだけ聞いて実際目で見たことはない地域を、ぜひ見てみたい、そして出来るなら再びもどってきたい。
そんなあてもない願いを抱きながら、その日草加という宿にたどり着いた。
何より苦しかったのは痩せて骨ばってきた肩に、荷物がずしりと重く感じられることだ。
できるだけ荷物は持たず、手ぶらに近い格好で出発したつもりだったが、夜の防寒具としては紙子が一着必要だし、浴衣・雨具・墨・筆などもいる。
その上どうしても断れない餞別の品々をさすがに捨ててしまうわけにはいかない。こういうわけで、道すがら荷物がかさばるのは仕方のないことなのだ。